それは昔々のこと



光と闇はひとつで、境界ありませんでした

闇は夜、光は昼と呼ばれていました

そして人々は昼でも夜でも生活をすることができました

それはとても平穏な世界でした




しかし人という生き物はみんな違うもの

明るく楽しく賑やかに生きたいと願う人

静かで落ち着いたゆっくりとした時を生きたいと願う人

一緒に生きているがうえに生じてしまう人々の間の歪


人々は他を侵すためではなく、自分を守るために剣をとり、力を行使しました

自分の生き方を守るための戦争

そのために消えてゆく人々




神それを見てその戦争を終わらせるために、そして二度と戦争を起こさないようにするために壁をつくりました

それは時間の壁、光と闇の壁、灰色の壁

賑やかな人生を望む人は光の時間に暮らす光人に

静かな人生を望む人は闇の時間に暮らす闇人に



ここは三十分の太さで灰色の線を引かれた光と闇の世界












静かで落ち着いた光人の少年 シト

賑やかで元気な闇人の少女 ルイ

出会いは本当に些細なもの

その些細な出会いから芽生えた物語

二人を隔てるのは光と闇の壁

その壁を越えようとする二人の先にあるのは・・・





「――――は、欠片なんだよ。光と闇の欠片。だから、二人で一つ。」





それはシトとルイの小さな世界で芽生えた恋の物語




『光と闇の欠片』