第十八話 夕日とビーチバレー
数分後。
「よっしゃぁーーー!!!いっくぞーー!!!」
「「おぉーーーー!!!」」
ハルと馬鹿双子が走ってきて,俺達をスルーし、そのまま海に飛び込み泳いでいった。
「あいつら本当に馬鹿だよな」
その後ろを委員長があきれた顔で追いかけながら歩いてくる。
「あいつらどうしたんだ?」
「なんでも青春を謳歌するために夕日に向かって泳ぐそうだ。」
・・・青春?ていうか夕日?
この真昼間に夕日か?
「理解できないな。」
りょうもあきれて言う。
「昼飯食い終わってコテージに戻ったらハルがいて、それで俺たちもこれから海へ行くって言ったら双子と意気投合して『青春っていったら海と水平線の夕日だ
よなぁ?青春を謳歌するべく、夕日に向かって力尽きるまで泳ぐぞーーー!!!』といって海パン一丁で走っていった。」
「ん?」
りょうも反応を示す。
いまの委員長の再現の中に危険なキーワードが含まれいてたような・・・
「あいつら力尽きるまで泳ぐって、その後どうするつもりだよ!?」
普通の人間が言ったセリフなら冗談で済むだろうが、あいつらはこういうことに関しては言ったことを忠実に実行する。
「しかたない。委員長、追いかけるぞ!」
「了解」
そういってりょうと委員長が海に飛び込んでいく。
「ゆう!もしも40分たって戻ってこなかったら誰か呼んで来い。」
「オッケー」
「あの二人に任せれば大丈夫か。あたしはなんか飲み物買ってくるよ。二人も飲むでしょ?」
「おう。頼む。」
「おねがいね」
「はいよー」
そういって愛夏は財布を持って海の家へと。
あやと二人っきりだな。
ちょうどいい、聞きたいことがあった。
「俺なんかまずいことした?」
あの、バスの中での集中業火のことだ。
「え?なんで?」
「いや、バスの中でダウトやったとき集中攻撃されたから、なんかあやを怒らせることしたかな?って思って。」
「あっあれは・・・その・・・」
あやが赤くなってうつむく。
「ん?」
「いや・・・その、ゆうが嘘のカード出すのわかっちゃうからなんか面白くってつい・・・」
そういって、アハハと笑う。
「でも、なんでわかったの?」
「えっと。その・・・だから・・・なんていうか・・・」
あやがさらにうつむく。
「おまたせーお茶でいいよね?あいつらの分も買ってきたらお金なくなっちゃったよ。後できっちりお金請求するから。」
そういって空になった小銭入れを振ってみせる。
もちろん、コテージに戻ればちゃんと金の入った財布がある。
「おっ。帰ってきたな」
りょうと委員長がへとへとになって脱力しているハルと双子を引っ張ってきた。
「おつかれー。しっかしハルもバッカだねー。ほんとに力尽きるまで泳ぐなんて。」
愛夏があきれながらいう。
「しぬぅー。水ー。」
愛夏が買ってきておいたお茶をそれぞれに渡す。
「こいつら、俺たちが行ったらプカプカ浮いて漂ってやがった。」
少し疲れた感じのりょうがドサッと浜辺に腰を下ろしながらいった。
その後、一時間ほどハルと双子は爆睡し、りょうと委員長も横になって休んでいた。
その間俺たちは再びもぐったりして遊んでいた。
「ふぁ。よく寝たぁーーーげっ!!」
「「どうしたんだハル?うがぁ!!」」
「どうした?」
3人の奇声を聞き振り返ると・・・
「ぶぁはっはっは。あんたたちばかだねー」
仰向けのまま寝返りをうたずに爆睡していたためきれいに前半分だけが日焼けしている。
それを見た愛夏は腹を抱えて大笑いし、地面をのた打ち回っている。
ちなみにりょうと委員長はちゃんと向きを変えながら横になっていたのでそんなことにはなっていない。
「くっそー」
「「こうなったら」」
「「「あの夕日までっグホッ」」」
三人がまた海へ向かって走り出そうとしたのをすんでのところで足払いをかけて止める。
三人は砂浜にきれいに顔面から突っ込む。
「お前らはもっと学習しろ!さて、ビーチバレーでもするか?」
そういってりょうがたちあがる。
「いいね〜ちょうど8人いるから4人ずつに分けれるね。」
あやが楽しそうに言う。
あやは運動神経はかなりいいほうだが、俺たち五人+三人の中では一番下だ。
しかし、それは特定の競技を除いてのことで、バドミントンやこのバレーやなんかがそれにあたる。
「どうやって分けるか?」
そう考えていると。
「こんなこともあろうかとくじを作ってきておいた。」
そういって委員長がどこからともなく8本の割り箸を取り出す。
そのうちの4本は先が赤く塗られている。
いや、準備よすぎるだろ。
「おっさすが委員長。」
愛夏はそんなこと気にしないようだが。
いや、愛夏だけでなくこの場にいる誰一人そんなことは気にしない。
「まてまて。どこからともなく、まるで未来予知されていたかのように割箸が現れたことになぜ誰もつっこまないんだ?」
「え?だって委員長だし」
「委員長だもんな」
「うん。委員長だからね」
そっか、委員長だからか。
とりあえず納得しておこう。
全員がそれぞれくじを引く。
「なんでだよ・・・」
ひどく落ち込んでいるりょう。
チーム分けの結果。
おれ、あや、愛夏、委員長チーム対りょう、はる、ノリ、ソウチームとなった。
「なんで俺がこんなバカと・・・」
「「いいじゃねーか。なぁハル。」」
「おう」
「そもそもビーチバレーって2対2じゃなかったか委員長?」
「まぁまぁそういうことは気にすんなって。後で2対2もやるから。」
落ち込むりょうとハイテンションな3人のギャップがものすごい。
「もういい。こうなったら絶対に勝つ!!」
なんかりょうの変なところにスイッチが入ったようだ。
あのリョウまで洗脳するなんて、ハル&双子恐るべし。
「さぁいくよ!!」
こちらも無駄に気合が入っている愛夏がサーブを打つ。
互角の戦いだった。
あちらは運動神経が馬鹿みたいにいいハルと双子に3人ほどではないがかなりのレベルのりょうがいる。
対してこちらは万能の委員長におそらく女子最強の愛夏。
それに、種目によってはハルや双子等に匹敵する俺とあや。
点数は19対20でこちらがわずかに1点負けている。
さすがにここまでくれば負けられない。
「よし!!!絶対に勝つよ!!!」
愛夏が張り切って再び掛け声をかけた。
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