第二話 能力とバトミントン



一時限目、物理。
つまらない。
以上。

ほかの表現が見当たらない。
字が汚くて何を書いているかわからず、説明も下手な教師の授業は退屈以外の何ものでもない。
何でこんなつまらないことしなきゃいけないんだろ。
学校で能力についての授業があればいいのに、なんて思う。
それは絶対に叶うことのない願いなのだが。
そもそも基本的に普通の人には能力のことについて教えてはいけないことになっている。
別に法律で決まってるわけでもないが暗黙の了解ってやつだ。
それはまぁ当然の話だ。
人を簡単に傷つけたり殺したりできてしまうような超人的な力を持った人間がいるとなれば世の中きっと大パニックだ。
ただ、本来能力というのは人を傷つけるためのものではないし、戦闘に能力を使うことを拒んでいる能力者もいるぐらいだ。
まあどっちにしろこんなこといわれて信じる人間なんてそんなにいないだろうけど・・・

ちなみに能力には属性がある。
能力者は皆、光、闇、虚無のどれかの能力者に必ず分類される。
そしてそこにプラスアルファ火や氷や雷のような自然の力を持っている。
自然の力はいくつも持っている人もいればもっていない人もいる。
ただ本当に簡単なもの、たとえば火をおこしたり少しの水を出したり程度のことはほとんどの人ができる。
また、光や闇などのことを基本能力と言うのだが、基本能力もそう多くはないが複数使うことのできる能力者もいる。
ちなみにおれは三つすべての基本能力を使える。

これとは別に特殊能力と呼ばれる能力がある。
一応すべての人が持っている力だが眠っていて使えないことが多い。
特殊能力とはその人固有の能力で、光や闇、自然のものなどに分類できたりできなかったりする。
特殊能力については謎が多く、基本能力や自然の力をその人にしかできない特殊な方法で変化させ使っている人もいれば、ただイメージするだけで使える人もい る。
ただ、基本能力や付加能力をいくら変化させても決して他人にはまねできない能力で、例えそれをいくらがんばって教えてもその人にしか使うことができない。
はっきり言って能力に関してはわからない部分のほうが多いくらいだ。

能力といえば、能力者の世界には2つの「機関」がある。
「裏の機関」と呼ばれる機関と、「表の機関」と呼ばれる裏の機関に反するものだ。
機関には本当に強い能力者が所属し、俺は表の機関に所属している。
ちなみに俺が目覚めたときに現れた男も表の機関のメンバーで、あの直後に俺は表の機関に入った。
機関のメンバーには0から順に番号がついていて、表の機関ではNo.1からは機関に入った順に番号がついていくがNo.0には機関の中で最も強い者がなる ことになっている。
俺はNo.10で機関のメンバーは表は12人裏は13人いる。

「・・・それじゃあ今日はここまで。」

「起立。礼。」

あっノートとるの忘れてた。
あとでりょうにでも見せてもらうか。


三時限目、体育。
更衣室でトレパンへと着替えて体育館へと向かう。
前の時間は数学だった。
ハルが寝言で

「何でやねん」

と大声で、しかもなぜか大阪弁でつっこんだこと以外普通の授業だった。
正直こっちがなんでやねんとつっこみたくなった。

「それじゃあいつもどおり各自でしっかりと準備運動をしてそれぞれの種目を練習するように」

体育教師が言い皆が散らばる。
うちの学校の体育ではバスケ、バレー、バトミントン、テニス、野球、サッカーなどの中から一つ種目を選びそれを各自で練習する。
各種目ごとにはノルマが決められており、学期末にそのノルマを達成できさえすれば後は自由だ。
ノルマとはサッカーならリフティング何回以上、卓球ならラリー何回のような感じで決められている。

「ゆう、いこうか」

あやが俺の元へやってくる。
俺たち5人の選択種目はバトミントンだった。

「よし」

皆が集合していた第一体育館から第三体育館へと向かう。
うちの学校には体育館が三つあり、校庭もかなりの広さがある。

「よっしゃ。あや、ゆう!こないだのリベンジだ!!」

ハルが俺が体育館に入るなりいってきた。
前の体育の時間で俺と綾ペア対愛夏ハルペアでダブルスの試合をした。
俺や綾はハルたちほど運動神経がいいわけではなかったがバドミントンに関してはハルより上である。
特に綾は、バトミントン部でもないのに無茶苦茶強く、学校最強伝説まである。

「いっとくけど負ける気はないからな、りょう、また審判頼む」

「わかった」

4人がコートに入る。

「そっちからどうぞ」

そういって持ってきたシャトルをハルに渡す。

「余裕だな、ゆう」

ルールは結構適当で、21点マッチであること以外はあいまいだったりする。
ハルがサーブを打つ。
ショートサーブか。
ネットぎりぎりのかなり低いところを通って右のライン上へと飛んでいく。
シュパッ、シュパッっという音を立てて打ち合いが続く。
周りのバトミントンをやってるグループとは明らかにレベルが違っている。
愛夏が思いっきり打ちクリアをする。
綾がその球をバックラインぎりぎりのところからカットで返す。
それをハルが綾が後ろに下がり空いたところにドロップを落とす。
しかし、予想以上に綾のカットが強かったのだろうか、ハルのドロップはネットより少し高いところを飛んでいく。
おれはすかさず体をひねりそれをバックスマッシュで返した。
愛夏がそれを拾おうとするがわずかに届かない。

その後も打ち合いを続け、21対14。
俺と綾ペアの勝ちだった。

「ちっくしょーまたまけた・・・」

「やっぱりこの二人は強いわねー。りょう、練習の相手して」

「あぁ」

愛夏とりょうが空いているとなりのコートへと向かう。
りょうはだいたいハルと同じくらいか少し下だ。
それでも結構強い。

「よっし」

「また勝ったね」

「ゆうたち強すぎるって、コンビネーションも完璧だし。やっぱ付き合ってるだけあって息ぴったりだよな」

「そんなことないって」

あやがおろおろと言う。
そう、俺とあやは中一のときから付き合っている。
付き合い始めたのは・・・まぁいろいろあったわけだが。

「さすがは学校最強ペアだよな」

その通りだった。
バトミントン部最強の部長、副部長ペアと少し前に試合をして勝ってしまった。
学校中で有名になり何度もバトミントン部への勧誘をされ大変だった。

「ソンじゃあ俺も練習するかな。次は負けないからな」

そういってりょうと愛夏が練習しているのを少し見てから壁打ちを始めた。

「軽くラリーしよっか?」

「そうするか。」

俺と綾は話しながらラリーを始める。

「やっぱ綾は強いよね」

「ゆうだって強いじゃん」

「そりゃまぁあんなちっちゃいころからあれだけやってればね」

「小学校のころからだっけ?」

「うん。いつも5人であれだけやってたもんな」

「他にもバスケットとかもやってたよね」

「うん。ハルが無茶苦茶つよくて俺とりょうの二人がかりでやっても勝てなかったもんな」

「そういえばそうだったっけ。懐かしいな〜」

こんなかんじでラリーをしたり、りょうやハルと練習をしながら一時間を過ごした。

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