第二十一話 第一水鉄砲戦線



「だめだあや!!そっちは!!!くっ仕方ない。」
「ゆう!!そんな・・・私のために・・・」
「よかったあやが無事で。俺の分までがんばってくれ。これをあやに。」
そういって手渡したのは一丁の水鉄砲とねずみ花火だった。

そもそもことの発端は委員長の持ってきた荷物である。
暗いところでもわかるように蛍光塗料がついている水鉄砲。
どういう仕掛けかはわからないが水がつくとその部分が光るシャツ。
これで何をしろというのだろうか?
俺たちは花火をやるつもりでいたのだが。
「「「よっしゃサバイバルゲームだ!!」」」
ハルと双子、いや、三つ子が俺の問いに答えてくれた。
そうか。
りょうは知っていたようだ。
委員長の荷物をみてまったく驚かなかった。
結構楽しみにしていたようで、いつものようにクールな雰囲気を出そうとしているが実はとてもわくわくしているのがこちらまで伝わってくる。

そして、ついに始まってしまった。
ルールは簡単。
最後まで残った人の勝ち。
水しぶき程度は許されるが、水鉄砲の水がダイレクトにあたったら負け。
花火は使ってもいいが当然直接人に向かって使えば反則負け。
委員長によって処刑される。
双子は1セットとして考え、俺とあやは同盟を組んでいる。

みんな強かった。
そして結局俺が最初の犠牲者となってしまった。
あやとともに必死に戦ったが、あやを守り散ってしまった。
いいわけをする気はないが恋人を守って散るというのも悪くはないと思う。
しかし、こうしてみてみるとこの空間は本当に・・・怖い。
怪しく光る水鉄砲が薄暗い宙に浮かび上がり静かに静止をしている。
そしてあたりを満たしているのは怖いほどの殺気。
みんな相手の様子を伺っていてあたりの空気は張り詰めている。
あやもさっきので何かがオンになってしまったらしく、かなり真剣だ。
もし俺が間違ってこの場に足を踏み入れてしまったら黙って回れ右をするか、金縛り状態になり立ち尽くしているだろう。



「「くらえりょう!!」」
「うおっ」
なんと双子が放ったのは水ではなくロケット花火だった。
しかし、誰もそんなこと気にしなかった。
もしかしたら俺のルールの認識が甘かったのかもしれない。
人に向かって使ったら反則なのではなく人に当てたら反則なのだ。
まぁこの面子はかなり運動神経がいいから狙いを誤るってことはまずないだろうし、それに少しばかり間違った方向にお互いを信用している。
こいつなら狙って撃っても必ずよけられる、と。
そんなことを考えていると綾が突然言った。
「ゆう、私行くね。」
「へ?」
いくって?
そう、この戦争をとめるのはあやだった。
「みんな!!」
そういって無数の何かをばら撒いた。
俺が託したねずみ花火だ。
「「うおっ」」
「くっ」
なるほど。
その瞬間みんなねずみ花火に気を取られて下を向いてしまった。
そこにあやがすかさず二丁の鉄砲を発射する。
華麗な水鉄砲さばきでほぼ同時に6人を仕留めた。
「「「くっそーーー」」」
三つ子が悔しそうな遠吠えをあげた。
「まさかあやが勝つとはね。あたしも驚きだわ。」
「ところで。」
委員長が言った。
言ってしまった。
新しいシャツと花火を手に持って微笑みながら。
「2回戦やる?」
そうですか・・・

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