第二十二話 第二水鉄砲戦線




「それじゃあ。よーい、スタート!!」
委員長の掛け声とともに始まる2回戦。
俺は開始と同時にりょうに勝負を仕掛けた。
正面から撃った弾をりょうは体を横に向け軽くかわし、そのまま連続で撃ってくる。
俺はそれを避けロケット花火を撃った。
バンッ
りょうまで届くはずのロケット花火はその前に空中で激しい音とともに破裂した。
なんとりょうは俺が撃ったすぐ後に同じくロケット花火を撃ち空中で相殺させたのだった。
こんなこと一般人じゃできないだろ・・・
こいつかなりマジだな。
そんなことを考えているとすかさず花火同士がぶつかった光と煙の中から無数の弾が飛び出してくる。
りょうがまじめならこっちも本気でいかせてもらおう。
飛んできた水を片手で側転してよけ、回りながら水を打ち込む。
りょうはその弾はなんなくよけたようだが、俺は続けて着地で横に滑りながらロケット花火を低空で撃った。
俺が滑った後を追うようにして何発も水鉄砲が発射され、横を通り過ぎていく。
りょうが地面すれすれを飛ぶロケット花火をよけるために飛び上がった瞬間、空中にいて避けられないりょうに向けて弾を撃つ。
バッ
なっこいつ!!
思いっきり空を蹴って真横に飛んだ。
いわゆる二段ジャンプというやつだ。
どんなに鍛えても一般人だとこうはいかない。
「大人げないな、りょう」
「うるさい」
着地してそういいながら連射してくる。
相手がその気ならこっちにだって考えがある。
りょうが着地の状態から構えに入った瞬間、4、5メートルほどある間合いを一瞬でつめた。
しかしそれにりょうは対して水を打ってくる。
俺は間合いをつめた勢いでりょうを軸にするように素早く回転し後ろに回りこむ。
「なっ」
後頭部におもいっきり水をかけてやった。
「俺の勝ちだな。」
「負けた・・・」
そういってりょうは地面に崩れ落ちた。
俺は状況確認のためにあたりを見回したとき、その光景に驚愕した。
委員長の前に立つあやの後ろでは双子が倒れている。
あやの右手には2つ、左手には1つの鉄砲が握られている。
「双子を倒したのか?」
「あぁ、そうだよ」
もらすように一人で呟いたはずの言葉に後ろから愛夏が答えた。
あわてて構えるがそれを愛夏がとめる。
「あたしはもう負けたよ。ハルと相打ちだった。」
そういって水が付いて光っているシャツを見せるようにつまんだ。
「横目でみてたけど、一丁の鉄砲でまったく同時にあの双子を倒してたよ。あれはもうプロ級だね。」
そんなことを話していると見る見るうちに委員長が追い詰められていく。
あやは三丁の銃をたくみに使いこなしていた。
そして、
「くっ」
委員長が地面に膝をついた。
「これ、借りるね」
そういって委員長の手から鉄砲を取り左手に持つ。
なんだかよくわからないけどあやは無茶苦茶強い。
三丁の銃を使いこなし、委員長だけでなくあの双子も倒している。
静かに向かい合った。
あやの目は真剣だ。
この戦いは絶対に負けられない。
構える二人の間は張り詰めた空気で満たされている。
二人が同時に地面を蹴ったそれが始まりの合図だった。


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