第二十三話 第二水鉄砲戦線〜決戦〜




絢はりょうの二段ジャンプのような人間離れした技は使ってこないが、確実に攻めてきて隙がない。
4丁の銃も完ぺきに使いこなしていた。
さらに俺はりょうとの勝負で花火をすべて使い果たしていたが、あやはまったく使ってなかったらしく大量に発射してくる。

キツイな・・・

俺もりょうから鉄砲を取っていればよかった。
そんなことを考えながら無数の花火を避け続ける。

「ハァッハァ」

もうお互いに息があがってきている。
できるだけ無駄に使わないようにしていたが水も残り少ない。
撃てて後2,3発といったところだろうか。
何とか隙を狙って撃つしかない。
しかし、一発目を避けるとそこに二発目が間を置かずに撃たれ、横に避けようとすると2丁同時に撃ってきて逃げ場をなくされる。
隙を見つけるどころかこちらから撃つのも難しい。

「あっ」

ん?
どうやら水がなくなってしまったようだ。
しまったという顔をしながら右手に持っていた二丁を放り投げた。
あやが足元を狙って一発撃ってくる。
それをかわしながら大きく一歩間合いを詰め次の一発を避けると同時に一発撃つ。
それを避けたあやは二発同時に撃つが右からしか水はでなかった。
あやは空になった水鉄砲を足元に向かって投げ、俺が避ける間に横に移動しながら撃ってきた。

「そんな・・・」

よし!!
勝った!!!
その一発であやの水鉄砲は空になっていた。
俺は避けられたら引き分けになってしまうので距離を詰めて確実に当てようとする。

ピシャ

え?

まさに水鉄砲を撃とうとした瞬間だった。
あやが地面を横に蹴って水平に飛び、くるりときれいに一回転しながら着地した。
それと同時にあやは最初に放り投げた2丁のうちのひとつを拾い撃ってきたのだった。

「やられた・・・」

「やった!!」

最初の2丁はどちらも水が1、2発ぶんほど残してあったのだ。
水がなくなって逃げるふりをして鉄砲を回収し隙を狙って撃つという作戦にまんまと引っかかってしまった。

「すごいじゃん、あや。二連勝なんて。」

「それじゃあ三回戦を・・・」

委員長がそういいかけた瞬間、俺とあやは動いていた。
あやは残されたもう一丁を回収しおれも一回分水が残った鉄砲を持って委員長の持ってきた段ボール箱へと走る。

「「させるかぁ」」

同時に残ったすべての水をダンボールに向かって放つ。
ダンボールに入っていたシャツは水をかぶり光っていた。

「ゆう。あや。今、社会は循環型社会へと変わっているのだよ。一度使ったものは物はそれでおしまいという消費型社会はもう終わるんだ。このシャツも乾かせ ばまた使えるようになっている。最初に使ったやつはもうほとんど乾いているよ。」

あぁ、そうですか
俺とあやは地面に崩れ落ちる。

「さすがだ委員長。」

そんな俺たちを尻目にりょうと委員長が硬く握手をしている。
二人の後ろには二枚の国旗が見えてきそうな勢いだ。
もう手遅れか・・・
りょうと委員長のキャラは崩壊している。

「「「よっしゃー!!それじゃあ三回戦だぜ!!!」」」

三つ子が何か言ってる。

「あや、俺たちはおりようか?」

「うん。あとはみんなでがんばってね」

そういって戦線離脱しようとすると。

「「「おいゆう!駆け落ちか!!」」」

「なぜそうなる・・・」

「えっ違うの!?」

そこでなんであやがまた驚くんだよ。

「なんて言ってみただけ。」

そういっていたずらに笑った。
なんかもうみんなテンション上がりすぎだな。
まさかさっきの夕食のジュースにアルコールでも混ぜられてたか?
このままでは俺まで巻き込まれそうだ。
いや、もうとっくに巻き込まれてるか・・・
とりあえずここはさっさと逃げるとするか。

「行こうあや。」

「うん。」


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